「あ、すみませーん。」
1つの席で手を上げた人がいた。
「はーい、今行きまーす。」
うちは叫んだ。
ここってうるさいんだよね。
まあ、声だしランニングやってるバド部なめんな、ってことで。
うちはお盆と紙を持って、その席に小走りで向かった。
20代くらいの男性4人グループだ。
「お待たせしました。」
うちの得意の営業スマイルを貼り付ける。
「お、可愛いねぇ。何歳?」
うわ、ナンパだ。
まあ、ここではよくあることだ。
「高1ですよ。夏休みの小遣い稼ぎです。」
うちは笑った。
会話を盛り上げるのは一種の手だ。
「あぁ、そうかー、それはいいな。」
「はい、海にも入れますし。…あ、ご注文は?」
うちはそう訊いた。