君に恋した夏。【短】





未だに手を繋ぎっぱなしのことに、真夏は気づいているだろうか。




これが嫌じゃない…から、気づいてほしくないとか。



気づいてるけど、わたしと同じ気持ちで、言わないんじゃないかとか。




自分に都合がいいように考えてしまうのは──…





「凛ちゃん、凛ちゃん!りんご飴あるよ!」





その無邪気な笑顔にやられた、


『恋』なのだろう。





「…───うん。」



思わずつられて笑ったら、真夏が顔を赤くしたことは……




この感情に動揺して、気づかなかった。







君に恋した夏。



それは、素晴らしいものになるだろう。