「いえいえー。」
「じゃあうち、戻るから。」
うちは当然のように、歩き出す。
「────凛ちゃん。」
その声は、別に叫んだわけじゃなかったのに。
はっきりと、うちの耳に届いた。
「──…何?」
思わず、振り返る。
するとそこには、無邪気に笑う真夏がいた。
「夜、暇?」
ヨル、ヒマ?
「うん、暇。」
「今日、花火大会あんの知ってる?よかったら行こうよ。」
ヨカッタラ。
うちはなぜ、こいつの言葉に固まり、
衝撃と喜びを感じ、
うなずいてしまうのだろう。
「うん…───行く。」
それに気づいたら、終わりな気がした。


