壁越しのアルカロイド



今日も一緒に学校からの帰り道を帰って来た。

梨奈は寝ている間に風紀委員に当てられたのだが、今日も委員会の会議で遅くなるというのに彼はわざわざ待っていてくれていたのだ。

極め付けは。

梨奈が触っても、翔が嫌がらないと言う事。


分かるだろうか、この感覚。

誰にも懐かない気品溢れる高級猫が、自分にだけスルリと体を擦り付けてくるようなこの快感。



『…遅いんだけど。』

と、自分を待っていた時のちょっとふて腐れたような態度とか。



『わっ、と。ごめん。』

『…別に。』

と、不意に触れ合った肩をそのままにしてくれた時のほのかな体温とか。



『ん。…なに。…いらないんだったら持って帰るけど。』

と、誕生日プレゼントをぞんざいにくれた時の赤い耳とか。



普段、『バカなの?バカでしかないの?』と言われまくっている上でのこのデレた態度。


なにこの生き物、可愛い過ぎる…っ!

と、こっそりのたうち回る事を許してほしい。