壁越しのアルカロイド



そりゃ、好きだ。



口ではなんだかんだ言う癖に面倒見が良いところも好きだ。

“馬鹿め”と言って頭をコンっと軽く叩いた後、こっそりと“しょうがないなぁ”とでもいうように苦笑いするその口元が好きだ。

昔の話をすると本気で怒るときの赤い耳も好きだ。


手が触れたぐらいで頭に血が上って恥ずかしい事口走るぐらい好きだ。


…あぁ、もう、いいや。と梨奈は思った。

一度振られてるのだ。

この際素直に、言ってしまおう。


「それは、まぁ。……好きだけど。」

「ん?なんて?」


「…だから!翔の事が好きだって言ってるんじゃん…っ!」

「ん、どれくらい好き?」

「〜〜っあーもう!めちゃくちゃ好きだけどそれが今更何!」


もう、これはいじめだ。とんだ羞恥プレイだ。梨奈はまた涙目になりながら半場ヤケクソに叫んだ。

振られた相手に促されて再度告白とか……。何考えているんだこの男は…。





「梨奈、今すぐそこから出て来て。」