壁越しのアルカロイド



『え、付き合ってるもんだと思ってた。』


友人のその一言に、梨奈は教室の端っこで飲んでいるジュースをゴフッと吹きかけた。

違うよと否定するも、2、3人の友人に詰め寄られる。

『でも、二人で一緒に帰ってんでしょ?』

『うん。』

『誕生日もプレゼント送り合ってるんでしょ?』

『まぁ、うん。』

『で、梨奈も古川くんの事、好きなんでしょ?』

『あ、まぁ………はい。』


あっさりと言われたガッツリな質問に、顔を真っ赤にしながら梨奈は敬語で答えた。

その肯定を聞いて友人達は半場呆れ気味に『それもう付き合ってんのと変わらないんじゃないの?』と漏らす。

『普通の人だったらそりゃ考えるけどさー、あの古川くんだよ?あの古川くんがあの態度なんだよ?むしろ付き合ってないとか言われる方が腹立つわ。』

『なっなんで!』

『もうさぁ、梨奈の方から聞いちゃえば?“私達、付き合ってるんだよね?”とかさ。』

ギョッとして梨奈は眉を限界まで頭皮に寄せた。

言えるわけないじゃん!とその時は返したものの、その友人のセリフが脳の端っこに引っ付いて中々剥がせない。

そんな大胆な事、聞けるわけない。

聞けるわけないのに。





その時が、やって来た。