僕がその人に会ったのは大学生の頃だった。

その頃の僕は2年生になり、大学生活を満喫していた。
学校にも慣れて昼からのんびりと登校。
単位はぎりぎりだった。

遊びの資金のためにアルバイトをしていた。

その日は大学は3限だけで終わり

「ひまだなぁー、中村ん家でもいくかなぁ…。」

と、大学通り沿いを歩いていると突然の雨。雨…というよりは滝のように降ってきたものだから、僕はたまらず
目に止まった軒下に逃げ込んだ。

「参ったな、服も靴もびしょびしょだ。…ついてない」
弱まるまでしばらく待つしかないか、
と考えていると、
自分がいるのがカフェであることに気づいた。

民家のような外観で
小さく名前が書いてある。

ただで雨宿りさせてもらうのも何だな、
止む気配もないし。
コーヒーでもいただこう。

扉についたベルがチリんと鳴った。