【す】

*すき*


「すーき」

「ああ、」

「ねぇ、すき!」

「分かってる。」


ペンを走らせながら、必死に勉強している私の彼氏。

私の言葉を全然聞いてくれなくて、目線は全部教科書に奪われる。


「ねぇ、私のことすき?」

すごく不安になってそう聞くと、彼は

低い声で言った。


「好きじゃねーよ」

なんだ……っ、

だから私の言葉にも答えてくれなかったんだね

うるうると零れてくる涙を我慢してと

ぎゅっと暖かい温もりに包まれた。


「好きじゃねーよ。

大好きだから。」