私の選択



私は、本当の彼を知ってる。



前に


大学に行くとき、1階でエレベーターのドアが開いたら、ボサボサの頭で、寝起き全開の出で立ちで彼が立っていたことがある。


「母さん! これ!」


ものすごく息を切らしていて、エレベーターを追いかけ、急いで階段を駆け下りてきたのだとすぐに理解できた。


どうやら同じエレベーターに乗っていた女の人は、彼のお母さんだったらしい。


「まったく。危なっかしいな~! しっかりしろよ~」


ぶっきらぼうに封筒を渡しながらも、その言葉がとても優しく感じた。


お母さんを見送る、彼の笑顔がかわいかった。



彼とお母さんが一緒に買い物をしているところを、スーパーで見かけたけこともある。


すごくお母さんを大事にしている、ということが雰囲気でわかる位で。


荷物を持ってあげたり、楽しそうに話をしたり。


いい子だなと思った。