「ユ、…鳴海くん。ごめんね?」
危なかった。
学校や人前ではユキトのことは苗字に君付けで呼ぶようにしている。
『いえいえ。会長のお役に立てたなら何よりです』
そして、ユキトは私を”会長”と呼ぶ。
あちゃー…怒ってるって言うより若干不機嫌なのは気のせいではなさそう。
「おいおい、”うさぎコンビ”イチャついてないで仕事しろよ!」
あ、ユキト青筋入ってる?もしかしてキレる一歩手前?
そもそもの原因は私だけど今のユキトを挑発するのは非常によろしくないと思われる。
そんな風に私とユキトに茶々を入れるのはいつもの事ながら書記の笠松 匡汰(カサマツ キョウタ)くんだった。
『うさぎコンビって呼ぶなって、』
「いいじゃん?お前なんてモロまんまじゃん?ゆ・き・う・さ・ぎ!!」
うん、確かに。私の場合は発音は似ているというだけ。
初咲(ウサキ)。
でも、ユキトの場合はそのまま雪ウサギって書いて雪兎(ユキト)。
