紅達に報告してからも、毎日駅に通っていた。
ただ、一つ変わった事…
それは、毎日駅に来ていた連が来なくなった事。
“嬉しい”そう思っているはずなのに、素直に喜んでいなかった。
なんで…?嬉しいでしょ?
あぁ、こんなの私らしくない。
やめよう。あんな奴の事考えるなんて。
駅の“イケメン”の事、考えよう…
今日も、かっこよかったなぁ…って、わざとらしい!
モヤモヤした気持ちでいると、紅と海斗がやって来た。
「由那!今日、お祭りいこ!」
「は?」
いきなりでなんだかわからんわ…
「あぁ、えっと…今日あるじゃん?お祭り。そこに、海斗と野宮くん誘ったから!いこ!」
「えぇ…」
あまり乗り気じゃない私に、海斗まで誘った来た。
「由那ぁ、いこーぜ!」
困ったなぁ…
最近、連と遊んでないしなぁ。
だって、なんか避けられてるし…
うち、なんかした?
「ちょっと、由那?大丈夫?」
紅の心配そうな顔。
だめだ。紅に心配させちゃ…
「ん。大丈夫!」
はぁ…行こうかな。特に用事があったわけじゃないけど。
ただ、連と会うのが気まずい、というのか…
「あぁ!由那が悩んでる理由!野宮くんでしょ?」
紅は、たまにエスパーになる。
私が悩んでるの、分かるのかな?
「ち、違いますー」
あぁ!どもっちゃった…私、馬鹿!
「あぁ、やっぱり。最近、おかしいもんね?海斗。」
「あぁ。俺らが、あの話したからじゃね?」
あの話…?
なんだろう。なんでこの人達、ニヤニヤしてるんだろう…
気持ち悪い。
「気持ち悪いって思ったでしょ。由那」
「あの話ってなに?」
「無視かい!…あの話っていうのはねぇ。うふふ…」
き、気持ち悪い…
それから、紅の長話が幕を開けた…


連side

最近、幼馴染の由那がご機嫌な理由。
それは、好きな人ができたかららしく…
毎日、駅に通っている。
そんな由那は、俺が、由那に好きな人ができた事を知らないと思っているらしく…
もちろん、俺が由那の事を好きな事も知らない。
その日から、由那を追いかけ回すのもやめて、毎日一緒に駅に行くのもやめた。
由那が、駅のイケメンを好き、ということは由那の親友の雪村 紅から聞いた。
雪村は、俺の気持ちを知っている。
俺の親友、風見 海斗は雪村の彼氏でもある。
ラブラブな2人を、たまに羨ましく思う。俺も、由那と…なんて、妄想する。
俺、相当由那の事が好きなんだ。
由那は、笑うとすごく可愛いから。
ずっと笑っていてほしいから。
悩んでいる由那を見たくないから、俺たちの地元でやる花火大会に誘った。
っていっても、雪村と海斗に誘ってもらったんだけど…
今、俺は由那の事を避けている。
避けたくて避けているわけじゃないけど、無意識に避けてしまう。
だめだ、由那も不思議に思っている。
自然に、自然に…
俺、しっかりしろ‼

由那side

放課後、校門で美しい先輩達に囲まれている連を見つけた。
やっぱり、世間一般的に見て、かっこいいんだろうか…⁇
「あ、由那…っ‼」
びくぅっ
連の声に異常すぎる反応を示す、私の体は、やっぱりおかしい。
最悪…
先輩達こわいっ…
「ちょっ‼由那‼待ってよ‼」
つい最近に戻ったかのよう。
私の名前を呼ぶ連の声。
私は…固まって動けなかった。
連が走ってくる。
向こうから、先輩達の叫び声。
「由那、ハァっいっしょ、に…帰ろ‼」
走ってきたのか、息づかいが荒い。
たまには…いいかな。
「連、落ち着いて。…いいよ、一緒に帰ろ?」
私が落ち着いた声で言うと、安心した子供の様な顔をして、私の隣を歩き始めた。
「「…」」
しばらく沈黙が続く。
でも、気まずくはなかった。
しばらくして連が話し出した。
「花火大会さ…、楽しみだな。」
なにを言い出すか、と思ったら…連らしい…
「ふふっ」
思わず笑ってしまった私が気に食わなかったのか、何で笑うんだよっ!と、
顔を赤く染めて私の頭を小突いた。
また、しばらくの沈黙。
2人同時に笑い出して…

「俺ら、やっぱ、馬鹿だな…」
「そうだね…‼」
やっぱり、連は連だ。
よかった。
連は、大事な、大事な…
人だから。