羽根川 日菜[はねかわ ひな]は16歳の高校二年生。
見た目は可もなく不可もないといった感じのいたって普通の女子高生。
近くの古本屋【伊東古書店】でバイトをしている日菜は、今日も仕事を終えてこれから帰ろうとしていた。
その時、バイトの先輩である樫本 拓海[かしもと たくみ]に腕を掴まれた。
拓海は4年制大学生に通う20歳の大学三年生。
『自販で待ってて。』
拓海の低く少し掠れた声を聞いて電流が流れたかのようにピクッと体が反応してしまう。
一体何故腕を掴まれたのか、一体何故自販で待ってろと言ったのか、一体何故私に話しかけたのか、一体何を私に話すのか
日菜は頭の中でぐるぐると渦巻く疑問を無理やりもみ消して「・・・はい。」とだけ呟いた。
