「一ノ瀬さーん。」
診察室から呼ばれるとわたしは重い足を
しぶしぶ前に進めた。
「こんにちは。」
診察室には知らない先生がいた。
「初めまして、今日からここで働いてます。
よろしくね。」
若い男の先生はそう言って笑った。
わたしは無言で頭を下げた。
しばらく、わたしの膝を診察したあと先生は言った。
「一ノ瀬さんの膝、ぜったいによくなるよ。
だから、治療がんばろう。
おれ、こう見えても膝は得意分野だから
全力でサポートするよ。」
わたしはその言葉に驚いた。
「ほんとですか!?」
「ああ、きっと治るさ。」
そう言って先生は治療を始めた。