それでも、退部届けを書いた。震える指で、名前を書いた。それで、もう後戻りできなくなって、やっと私は覚悟を決めた。もう、思い出にすると。

 そういえば、思い出にできないものがあったと気付く。
 私、まだ中学時に始めた喧嘩終わらせてないじゃん…。
 運がいいのか悪いのか、高校まで一緒になってしまったうえに、同じクラス。最悪だ、と思っていたけれど、仲直りすれば“最高”に変わるんじゃないか?
 結局思い出を美しいものにするか歪んだものにするかは自分次第なのだと悟り始めていた。