KICK OFF!

「大丈夫?」

上から声が降ってきた。

そして手が差し出される。

上を見上げると、栗色の髪をした男の子がいた。

「はい…ありがとうございます」

手につかまり、立ち上がる。

「君も、サッカー部に入るの?」

「も…?」

「あ、突然ごめんね。僕は一年四組の犬塚(いぬづか)リョウっていうんだ」

「あ…じゃあ、同じクラスですね」

ま、全く知らない。

「うん、卯野原さんだよね?」

「はい」

「君さ、いっつも一人でいるからなんか覚えてたんだよね。席も斜め前だし」

そうだったんだ、知らなかった。