KICK OFF!

ベンチで腕を組んでいるのは獅子崎先生。

そして…。
私は試合を見る。

どうやら、干支部学園は紺と赤のユニフォームみたいだ。

「…っ」

一人の小さな男子が身をかがめ、ディフェンスを軽々とかわして突破する。
それから、完全にフリーになっている仲間にパスした。

片目を前髪で隠したその人は華麗なドリブルで相手を惑わす。

そして、コーナーからゴール前にクロスのパスを出した。

そこに身長の高い金髪の男子がマークしているディフェンスをはらいヘディングで飛び込む。

開始およそ3分。
またたく間に干支部学園に一点が入る。

すごい…。

相手が攻め込んでくる。

しかし、黒髪の男子が相手の動きを読んでいるかのようなディフェンス。

そして即座に相手が放ったパスをカットして、茶髪の男子にパスした。

茶髪の男子はほぼ干支部学園のゴール前から、ロングパスを出した。

鋭いボールが、きれいな弧を描く。

なんて精度が高いんだろう…。

そのパスを赤髪の男子が受け取る。

相手がすぐにマークにつき、その人は一気に三人に囲まれる形となった。

とられる…。

そう思った時。

いつのまにかボールは少し高めにパスされていた。

え…っ。

囲んでいた三人も何があったかわからない様子だ。

赤髪の男子はまだ囲まれたまま。

いったい、どうやって…?

そんなことを考えている間に、そのボールを銀髪の男子がオーバーヘッドした。

またまた得点。