「大変だなー、俺、手伝おうか?」

「大丈夫、もうすぐ終わるから」



私の前の席に座り、身体をこちらに向けた歩。

なんなの?

とは思ったものの、さほど気にしなかった。




……これが、失敗なんだけど。

気にするべきだったわ。





「…ねー、篠原さんってクールだよな!」

「…そうね」

「けど、結構面倒見良いなー」

「…そうね」

「優しいよなー、俺、好きだなー」

「…そうね」




私はずっと話を聞かずに受け流していた。

考えるのは、今日の晩ごはんのメニューのこと。