『ごきげんよう』
そう声を掛けられて私は返事をした。
今日は新学期だ。
教室に入ると何名かのクラスメイトがウロウロしていた。
『わたくし、宮ノ下静香です。』
そう声をかけてきた少女は色白の目の大きな子だった。
『静香さんと言うのね。』
私はふわりと微笑む。
『私は笠原林檎よ。』
自己紹介をすると少女は目を輝かせて笑顔を作った。
少女は高校から入学した私とは違い、幼稚舎からの特別生だそうだ。
それから健康診断を一緒にまわり、オリエンテーションを受けひととおり終えた。
『林檎さん。お昼だわ。ご一緒なさらない?』
静香さんがそう私に声を掛けた。
静香さんは他の特別生のクラスメイトを連れて扉のところでたちどまっている。
『まぁ、それじゃあご一緒させていただこうかしら。』
私は集団に付いて廊下を歩く。
『私は華原優よ。』
茶色い髪をなびかせる少女がいった。
『私は白松綾美。』
綾美さんの方は切れ目の硬質な美女だった。
『私は・・・笠原林檎です。』
こんなに学友ができると思わなかったので私は少し動揺していたかもしれない。
和やかな雰囲気でカフェに行くとちょうど四席のアンティークチェアが空いていた。
適当に腰掛けるとウェイトレスが注文表を置いていく。
『林檎さんはカフェは始めてね?』
そう優が言った。
林檎はメニューを見ながら頷く。
『オススメはどれかしら。ここのカフェ、素敵ね。』
そう林檎が言うと綾美が恥ずかしそうに『パスタがオススメよ』と言った。
静香が苦笑して言葉を付けたす。
『実はね、このカフェ。綾美さんのお父様が寄付して下さったのよ。』
林檎は少し目を見開いて凄いわね。と呟いた。
『でも・・・凄いのは貴方だわ。』
そう綾美が言う。
私は首を傾げた。
『何故かしら。』
静香と優と綾美が顔を見合わせた。
『お気づきではないのね。』
静香が頷きながら話を始めた。
優は注文をしている。
『本学院はね、初等科から入学する特別生と高等学校から入学する一般生に分かれているの。』
注文を終えた優が目配せをする。
『ご覧になって?』
私は反対側のテーブルに座って食事をしている生徒をさりげなく見た。
『どういうことかしら。』
『林檎さん。リボンよ。』
綾美が澄ましたようすで静かに声を出した。
『あ・・・。色が違う。』
そう言った私に三人は顔を見合わせた。
『お気づきになったかしら。』
綾美が珈琲を啜りながら言った。
ええ。と私が続く。
『一般生は黒のリボン。特別生は紺のリボンなのね?』
『そう。』
と静香が言った。
『今度は私が何故とお聞きする番ね。』
『何故、一般生の筈の貴方が紺のリボンを付けているのか。』


