─11月下旬─


雪がちらほらと降ってくるようになった。

もう秋はとっくに過ぎてしまっている。

肌寒い季節は僕を心なしか虚しくさせた。


「うわぁー、雪だぁ」


僕の隣で雪を見てはしゃいでいるのは最近出来た僕の彼女だ。


「あ、本当だ」
「初雪だね」


彼女は遊佐瑞希(ゆさみずき)。

告白をしたのは僕じゃなく遊佐だ。

遊佐は前から僕に好意を持っていてくれてたらしい。

そして僕と涙が別れたと聞いて僕に告白をした。

僕は涙以外の人を好きなるなんて考えたくなかった。

だから最初はその告白は断った。

でも遊佐は『身代わりでもいい』そう何度も言って来た。

亮輔や憲太に相談すると『空希がそれで前に進めるんならいいんじゃない?』と言った。

僕はとりあえず付き合うことにした。