「え、それ・・・どういう意味・・・?」


時耶くんは目を見開いてこっちを見ている。


「たぶん、卒業式までもたない。私」


そして私は自分の髪をがしっと掴み、そのまま梳(と)くように撫で下ろした。


「・・・ぇ」


声を上げたのは時耶くん。

無理もない。

だって私の髪は無残にも何本もの束で抜け落ちたのだから。


「抗がん剤でもうこんなに髪も抜けやすくなってるの」
「でも今の抗がん剤の量じゃ癌の進行に追いつかない」
「だから今度から入院することになっちゃった」
「抗がん剤の量も増やすんだって。今より髪の抜け落ちちゃうし嘔吐も酷くなっちゃう」

「涙・・・ちゃ・・・」


時耶くんは開いた口が塞がらない状態だった。


「なんでこうなっちゃったんだろうね?」
「私、神様に怒られるようなことしちゃったのかな?」


私は頑張って笑顔を作った。

でも視界は滲んでいた。

ぽろっと涙が落ちると視界の滲みは少しましになった。