偶然、会ってしまったのだ。

会ってはいけない、でも会いたくて会いたくて恋しかった人。


「ぁ・・・っ」


空希・・・っ。

私は小さく声を上げた。

でもすぐに目線を逸らし、何も見ないようにした。

空希を見てしまうと今まで頑張って我慢してきたものが全て崩れてしまうような気がしたから。

でも足が動かない。

罪悪感と、緊張と、驚きと、恋しさと、愛しさで。


「・・・」


すると時耶君が私の肩に手を置いた。

そして私を自然な形で誘導するように歩き出した。

きっと時耶君も空希の前でこんな裏切ったような行為をするのは辛かったと思う。

ずっと親友だったんだもん。

辛かったに決まっている。

私の所為(せい)でゴメンね。

本当にゴメンね。

みんなに迷惑をかけてしまって。

ゴメンなさい。