俯いたままなので時耶くんの表情は伺えないが返事がない。

それくらい驚いているのだと思う。


「それでね、このことは空希に黙っててほしいの」


私はお構いなしそう続けた。

するとやっと時耶くんからも返事がきた。


「え、待って、色々整理できてないんだけど・・・」
「てゆかそれ逆に俺じゃなくて空希に言うべきなんじゃないの?」

「うぅん、空希には言うつもりないよ」
「空希には幸せになってもらいたいの」
「私はあと余命半年なんだって、だから空希の側にはいられない」
「私じゃ空希を幸せにしてあげられないの」

「なんで?」
「俺は涙ちゃんじゃなきゃ空希は幸せになれないと思うよ」

「この先、側にいてあげられない以上、空希を幸せになんて出来ないよ」


沈黙が少し続いた。


「だからね、空希と別れることにした」
「もう病気が治る確率は0に近いくらいなの」
「死んじゃう前にお別れしておかないと、空希が寂しくなっちゃうでしょ?」


私は少し微笑んだ。

・・・ちゃんと笑えてるかな。