─翌日─


「・・・時耶くん」


時耶くんを隣町に呼び出した。

空希と会わないように。


「どうしたの?俺に用とか珍しいね」


時耶くんはいつもと変わらない笑顔で私を見る。

その笑顔から目を背け俯いて無言になってしまう。

服の袖口をぎゅっと握り締める。


「涙ちゃん?どっか具合でも悪いの?本当に大丈夫?」


時耶くんが私の顔を覗き込む。


「・・・のね、」

「え、なんて?ごめん、聞こえなかった」


時耶くんは私のほうへ顔を近づけてそう言った。


「あのね・・・」

「うん」

「私、癌になっちゃったの・・・」


俯いたまま私はそう告げた。