時耶が涙の肩を抱いてこちらを見る。

そして少し嘲笑うかのような笑みを見せた。

涙も時耶に寄り掛かり、こっちを見ようとしない。

僕は必死に拳を握り締め、怒りを静める。


「涙ちゃん、行こっか」

「・・・うん」


そんな会話をしながら二人は僕の前を横切り、姿を消した。

僕はしばらくその場から動くことが出来なかった。

ただ呆然と立ち尽くすばかりで。