「涙?怒ったの?」


僕はまだくすくす笑いながら涙にそう問いかけた。


「・・・」


黙り込む涙。

あれ?

本当に怒らせちゃったかな?


「涙?ごめんてば、機嫌なおしてよ」


僕は涙の機嫌をなおそうと少し焦る。

あたふたしていると涙が枕から顔を離し、こちらを向いた。

そして口を開く。


「んー、空希の匂いするぅ」

「・・・え」

「落ち着くー」


・・・なんだ、怒ってなかったのか。


「空希の匂いー」

「こらっあんま匂い嗅ぐな!恥ずかしいだろ!」


僕は涙のおでこにデコピンをした。


「いたぁっ」
「もうしないから許してください・・・っ」


涙は自分のおでこを手で隠す。


「涙ばか」


僕はそう言って微笑んだ。