風呂から上がり、火照った体をタオルで仰ぎながら洗面所を出る。

あ、そういや涙まだ髪乾かしてなかったよな。

そう思い僕はドライヤーを洗面所から持ち出して自分の部屋に持っていった。


─ガチャ─


「涙、まだ起きてる?」


そう問いかけたが返事はない。

・・・あれ?


「涙?」


部屋に入っていくと涙が横たわっているのを見つけた。

よく見ると寝息を立てている。


「ん、あれぇ?ゴメン、寝ちゃってたぁ」


僕の足音で起きたのか涙は大あくびをする。


「涙、髪乾かす?濡れたまま寝たら風邪ひくよ」

「あ、うん、ありがとう」


そして僕は涙にドライヤーを手渡した。


「そうだ!」


思い立ったように涙が髪を乾かす手を止めた。


「?」

「空希の髪乾かしてあげるーっ」


そう言って涙はドライヤーをぶんぶん振り回す。


「・・・えっ」