「空希、入るよー?」


ドアの向こう側から聞こえた涙の声。


「どうぞー」


涙は濡れた髪をタオルでくしゃくしゃと拭きながら部屋に入ってきた。


「お風呂ありがと、いいお湯でしたっ」

「うん」
「じゃあ僕も入ってくるね」

「はーい」


涙は僕を見送り、手をひらひらと振っていた。