「なんか・・・」


そう口を開いたのはアスだ。


「ん?なに?」

「ソラ取られたみたい」


僕にはその言葉の意味がすぐに分かった。

僕とアスは近所では小さい頃から仲のいい兄弟として知られていた。

だから今みたいに、暇になればお互いの部屋で何をするわけでもないが通い合ったりしている。


「涙に?」

「うん」

「はは、大丈夫だよ」
「家族の血は水より濃いんだ」
「そう簡単に血縁は切れたりしない」

「うん」


するとアスは無表情ながらも少し優しい顔をして部屋を出て行った。