階段を半分くらいまで降りると晩ご飯のいい匂いがした。


「あら空希、るいちゃん」
「座って座って」


母さんはいつになく笑顔だった。


「あ、ありがとうございます」

「涙、遠慮しないでね」

「うんっ」


晩ご飯は惣菜だらけだった。

コロッケ、ポテトサラダ、他にも沢山。

するとアスも降りてきた。


「明日希、ちゃんとるいちゃんに挨拶した?」


母さんが降りてきたアスに向かってそう言った。


「さっき会った」

「うん、で、挨拶は?」

「・・・え」


その反応を見ると、と母さんはアスの肩を持って涙の方に無理矢理向けた。


「明日希です」

「あ、えっと、涙です!」
「ナミダって書いて涙ですっ」
「あすきくんは?どんな字書くの?」


そういや僕と涙が出会った時も涙にこんな質問されたな。


「あしたに希望の希」

「そっか、よろしくねっ明日希くん!」

「うん」


相変わらずアスのクールな反応に涙は少し戸惑っているようだった。