「今のがあすきくん?」

「うん、そうだよ」


涙は『ふぅん』と閉まったドアを見返した。


「母さんが晩飯食べにこいって言ってるし、いこっか」


そう言って僕が立ち上がると涙は何か言いたげな顔をしていた。


「え、あ・・・いいのかな?」
「お父さんもいるんじゃ・・・」

「・・・」
「父さんは・・・」

「?」

「父さんは5年前に死んだよ」


僕のその言葉に涙は驚きか悟ったのか、なのも返事はしなかった。

ただ僕の話に相槌を打ってくれた。