「そうだ空希」


さっき出て行ったはずの母さんが何故かまた僕の部屋に戻って来た。


「なに母さん」

「明日希みなかった?」

「アスなら部屋にいると思うよ」
「さっきギターの音聞こえたし」

「あぁそう?」


するとまた母さんは僕の部屋を出て行った。


「あすき?」


涙が首を傾げて疑問を僕に投げ掛ける。


「あ、うん、僕の双子の弟だよ」

「へぇ、空希双子だったんだー!」

「うん、まあ全然似てないんだけどね」
「今は高校中退して中学の頃から組んでるバンドとアルバイトに明け暮れてるよ」


僕はそこまで話すとははっと苦笑した。

まあ、あんまり自慢気に話せることじゃないからね。