雨量は少なくなるどころかさっきより増していた。

これじゃあ電車も止まってるだろう。

本当に涙が帰れない状況になったら僕んちに泊まるのか?


そうこうしてるうちに時計の針は8時前になっていた。


「雨止まないねぇ」

「うん」
「涙、本当に大丈夫?家のこととか」

「まあウチはあんまり門限とか厳しくないから・・・大丈夫だと思うよー」


涙の曖昧な答えに僕は少し苦笑した。

するとドアの向こうの階段下から声がした。


「空希ーっいるのー?」


よく聞き覚えのあるこの声は母さんだ。

今日は仕事で帰れないって言ってたのにな。


「誰?お母さん?」

「あ、うん」
「ちょっと待ってて」


僕は涙にそう言って部屋を出て行った。

階段を上から覗くと母さんは階段を半分くらいまで上がってきていた。


「あら空希、返事くらいしなさいよ、まったく」

「ごめん母さん」
「てゆか今日は仕事で帰れないんじゃなかったの?」

「大雨警報とか出ちゃったから帰されちゃったのよっ」

「そっか」


気付かなかったな。

警報なんて出てたんだ。