「もっかいココア入れなおしてくるよ」

「え、いいよっ」
「私つめたいココアも好きだよー!」


両手に持っていたココアの入ったマグカップを僕はもう一度机に置いた。


「雨だいぶ降ってきたな」

「そうだねぇ」

「もし止まなかったら・・・どうすんの?」


なに聞いてんだろ、僕。


「うーん、空希んちに泊まるー」


相変わらずマイペースな涙。


「涙らしいね、僕も男だよ?知らないよ?」

「でも空希は優しいって私、知ってるもん」


涙は僕のほうを向いて微笑んだ。


「うん、涙の嫌がることだけはしないよ」

「知ってるよー」


冷めたココアを啜(すす)りながら僕らは窓の向こうの空を見上げた。