「え、なに?気付いてたの?」

「当たり前だ、ばーか」


時耶はそう言って僕の肩を拳で軽く叩いた。


「じゃあ、改めてよろしくね、みんな」


涙は微笑みながらみんなに頭を下げ、お辞儀した。

僕もそれにつられて軽く頭を下げた。


「よろしくー、椎葉さん」


亮太が涙にピースをする。


「あ、もっと軽く呼んでくれていいよ」
「同級なんだし」


涙は少し照れくさそうにそう言った。

すると亮太が、


「じゃあ・・・椎葉ちゃん?」

「もっと軽くていいよ」
「苗字いやなんだよー」

「うーん、涙ちゃん?」

「そうだね、それのが嬉しいかも」

「じゃあ俺らも涙ちゃんって呼ぶね」


そんな会話にちょっとだけヤキモチを妬く自分がいた。

・・・名前で呼ぶのは僕だけがよかった。

なんて言ったら子供ぽいから言わないけど。