すると涙は僕に視線をやることなく立ち去ろうと背中を向ける。

咄嗟に僕も涙の腕を掴んだ。


「涙・・・!」


すると涙は俯いた状態のまま僕の方を振り返った。


「読んで・・・くれた?」
「恥ずかしいから捨ててね、紙」

「・・・」

「読んでくれるだけでいいの」
「ありがとう」


すると涙はまた逃げ出そうとした。

僕はさっきより涙の腕を握る手に力を込めた。


「捨てるなんて、出来るかよ」

「・・・っ」


伏せてた目を上げると丁度、涙と視線が絡み合った。


「幸せにするから」


そう言って僕は涙を自分の胸に抱き寄せた。