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『拝啓 空希へ。

今更こんな手紙を出してごめんなさい。
それでも、空希に伝えたいことがあった。
私は空希と出会えて本当によかった。
空希以外の好きな人なんて出来た事ないよ。
私には空希だけだった。
だからお別れするのが本当に辛かった。
もっと空希のそばにいたかった。
だけど病気になっちゃったんだ。
白血病っていう血液の癌なんだって。
癌が見つかったときにはもうあと余命半年って言われちゃった。
だから、空希を悲しませないために空希とサヨナラするって決めたんだ。
自分で空希を突き放したのに日が経てば経つほど空希のことしか考えられなくなっちゃってた。
空希はもう私のことなんてどうでもいいのかもしれない。
もしかしたら新しい彼女なんているのかな?
空希かっこいいもんね。
彼女なんてすぐに出来ちゃうよね。
もし想っているのが私だけだとしても私はそれでもいいよ。
私は一生片想いでも、それでもいい。
それでもいい、て思える恋だった。
戻れない、て分かってるよ。
それなのにいつも病室のドアを眺めてた。
「空希があのドアを開けて私に会いに来る」そんなことを願っていた。
図々しいよね、ずるいよね。
今でも空希を思うと涙が出るんだよ。
どれだけ涙を流しても、空希がいなきゃ笑顔になんてなれなかった。
秋祭りの指輪も、空希の部屋の匂いも、暖かい空希の家族も、空希の仕草も、嬉しそうな笑顔も、拗ねた顔も、悲しそうな顔も、私の名前を呼ぶ空希自身も、全部怖いくらい覚えてる。
感謝してもしきれない。
空希と出会えて、本当によかった。
ありがとう。
最高な最初で最後の恋だった。
本当に大好きだった。
一つ一つ思い出して書くときりがないのでこれくらいにしておきます。
今度生まれ変わったら、また一緒に恋に堕ちて、次は最後まで一緒にいたいです。

涙より。』