─2ヵ月後─


僕は無事に地元で就職が決定した。

亮輔も地元で就職が決まったらしい。

時耶は東京に出て夢を叶えてくる、と言っていた。

憲太は県外の大学に見事合格。

僕達4人はそれぞれ自分の道を歩みだしていた。

もう二度と戻らない日々。

涙の命日には4人で墓参りに行こう、と決めた。

この世に涙はいない。

在り来たりな言い方になってしまうけど、涙は僕の心で生き続けているんだ。


「空希ー、そろそろ行かないと遅刻するよ!」


階段下からはいつも聞きなれた声が響き渡る。


「もう行くよ、母さん先に行きなよ」

「そう?じゃあ先に行ってくるわねー」


今日から僕も社会人になるのだ。

と、言っても就職先は地元にある工場。

昔、父さんが勤めていた所だ。


「行ってくるね、父さん」


僕は仏壇の前で手を合わせ、玄関を出た。