「今はまだ読まなくていい。お前がちゃんと落ち着いてからでいい。だからいつかちゃんと読んでやれよ」


時耶そうとだけ言うと僕から離れ、どこかへ行ってしまった。

僕は手紙をぎゅっと握り締める。

泣きすぎて鼻は通らないし、瞼も重いし、なによりショックが大きすぎて息が満足に出来ない。

しゃくり上げながら僕は必死で呼吸をしていた。


「空希、もうそろそろ帰ろう。暗くなってくる」

「・・・あぁ」


憲太の号令に僕と亮輔は立ち上がり、手術室の前を立ち去った。

時耶は玄関先にある自販機で紙パックに入ったジュースを飲んでいた。

あの場に時耶がいると僕がまだ複雑がると思ったのだろう。


「みんな・・・」


僕のその声で少し前を歩いていた憲太と亮輔と時耶がこちらを向き、立ち止まる。


「・・・ごめんな、ありがとう」


僕は俯いたまま、三人にそう告げた。

するとあいつらは、


「当たり前だろ」

「親友だろ?俺ら」


そう言って涙目で笑っていた。