─2時間経過─


いつまで経っても涙はあの分厚い扉から出てこない。

2時間なんて普段ならすぐに感じるのに今だけ1日の半分が過ぎたように感じる。

白血病の治療法は骨髄移植や臍帯血移植などの造血幹細胞移植療法がある。

だが、その治療法は過酷な治療であり治療そのものが死亡原因になり、治療関連死することも覚悟するようにと言われているらしい。

なあ涙。

なんで僕を頼ってくれなかったんだ。

そんなことを考えていると誰から声をあげた。


「あ・・・!」


声のした方を見てみると、声をあげたのはどうやら憲太らしい。

憲太はなぜか手術室の方を見上げて口を開けていた。

僕は何があるのかと憲太と同じ方を向いた。


「・・・あっ」


僕も同様に声を上げてしまった。

なぜなら、手術中のランプが消えているからだ。

すると同時に鉄の扉が開いた。