─SIDE 空希.Soraki─


病室はまだ"手術中"と書かれた赤いランプが光っていた。

分厚い鉄の扉の向こうに涙がいる。

一人で戦っている。

僕は涙のつらさに気付いてやれなかった。

むしろ涙を傷つけた。

ごめんな、涙。

ごめんな。

守ってやれなくて。

今度からはちゃんと二人で道を歩んでいこう。

だから、早くこの扉から出てきて。

扉に手を置くとひんやりと冷たかった。