涙・・・。涙・・・、涙・・・!

心の中で何度もその名前を叫んだ。

息を切らしながら僕は病院に全力疾走していた。

途中、躓(つまず)きそうにもなった。

そうこうしているうちに病院に辿り着いた。


「涙・・・っ」


よく見ると病院の玄関に亮輔が立っていた。


「亮輔、涙は・・・!?」


僕のその声で亮輔は僕の存在に気付いたらしい。

亮輔は慌てて振り返り、口を開きながら僕の手を引いた。


「早く、急げ!もう涙ちゃんの手術が始まっちまう!」

「は!?今から手術すんの!?」

「あぁ、もうこのことは結構前から決まってたらしい」


涙、なんで僕に言ってくれなかったんだ。

そんな後悔のような、悔しさのようなものが胸を掠めた。

だがそれより先に足を動かした。