手術・・・?

「は、なんで?手術って何、どこか悪いの?」


僕はしどろもどろで言葉を捜す。


『涙ちゃん、ずっと癌だったらしい。白血病だって』

「涙が?」


・・・いつから?

なんで僕に言ってくれなかったんだ。


『とにかく詳しい説明はあとでするから今すぐD病院まで来い!』


憲太はそう言うと電話をそそくさと切ってしまった。

"涙ちゃん、ずっと癌だったらしい。白血病だって"

"ずっと癌だった"

"白血病"


憲太のさっきの言葉が何度も頭で繰り返しリピートされる。


「柏野くん?どうしたの?」


遊佐が心配そうに僕の顔を覗き込む。


「ごめん、遊佐」

「へ?」

「僕、これから行かなきゃならないところがあるんだ」


そう言って僕は席を勢いよく立ち上がり、財布からさっきのコーヒー代を置いて店を出た。