だけど不謹慎にも僕がそんな風に君の事を勝手に妄想をしていたら、突然とんでもない角度から君は僕の手の届く圏内に飛び込んでくる事になった。ちなみにそれは僕と血が繋がった双子の兄大翔の命と引き換えと言う最も残酷な形でもって。


  だがその時少なくとも僕が兄を突然に亡くした戸惑いと、長年僕の心の中で燻り続けていた君への思いが交差して、次第に嬉しさと戸惑いの狭間で僕の心の中は微妙に揺れ動いた。そう。それは兄には悪いけれどその時の僕は『今度こそ絶対に真央理を自分のものにするぞ!』と言う確たる思いを改めて再認識した時でもあったんだ。


  だけど今後君はいつも僕と兄とを比べるんじゃないだろうか?と不安に駆られる時があるんだ。でも賢い君はそれを絶対に表に出しはしないんだろうけれど。だけどそれが手に取るように僕には解るからこそ辛いんだ。


  それにしても君の心の中からいつしか兄の存在がすっかり消えて、この僕への思いで君の心の中がいっぱいに満たされる日が、果たして本当にくるんだろうかと今の僕は限りなく不安で仕方がない……。