僕はそのずらりと並んだ検索結果のアドレスをクリックして、画面に写し出された内容を隅から隅まで丁寧に読み良さ気な工房を選んで申し込み、早速『ビードロ作りの1日体験』をしてみた。


  そしてビードロ作りの1日体験をするべく僕は予約を入れた日にその工房を訪れた。ちなみにその工房はパソコンの画像で観た僕が思っていたよりか遥かにステキでお洒落な建物だった。


  暑い工房の中で炉(ろ)に向き合い流れ落ちてくる汗を、タオルで拭いながらの作業は、はっきり言ってきつかった。だが炉の中でグニヤリと溶けるガラスを自分の思い通りの形にしてゆく行程は、思いのほか楽しくもあったんだ。だからいつの日にかこの自分で作ったビードロを真央里に渡す事をひたすら夢見て、僕はビードロ作りにしばし没頭した。


  そしてビードロ中に薄いブック型の小さな手紙を入れる事も僕は忘れなかった。勿論後でその手紙を真央里に読んで貰いたいからだったんだけれど。だから僕はちゃんとビードロ中から手紙を取り出せる工夫を凝らした。そして試行錯誤の末にようやく僕の苦闘と汗の結晶である、まさに世界でたった1つだけの僕のオリジナルのビードロが出来上がった。