*
「おはよー」
「今日くるの遅くない?」
「えー?そんなかわんないよー」
クラスメイト達が楽しそうに挨拶を交わしている中、私は一人で席につく。
別に、友達なんていらない。
こんなこと言うとこの子かわいそうだな、なんて思われるかもしれないけど、おごってくれるとか、気分で口をきかないとか、そういう人は友達じゃないと思うし、そんな友達なら、私はいらない。
自分が裏切られることをわかってて群れる必要なんてない。
私は静かに本を開いた。
「中里さんてさ、ずっと本読んでない?」
「だよね。いつも一人だし」
「楽しいのかな?勉強ばっかりして」
聞こえてるよ。
そう言おうかと思ったけど、やめた。
正直つまんない。楽しいことなんてない。
友達もいない。
勉強も好きじゃない。むしろ嫌い。
それでも私は学校に来なければならない。
子どもは大人に逆らえないのだから。
結局私は、今日一日優等生を貫いた。休み時間は勉強か読書。
授業中は積極的に発言をして。
先生に頼まれた仕事は快く引き受ける振りをした。
成績をあげるため。
早く自分一人で暮らせるようになるために。