何も音がしない…
何も周りにはない…
何も感じない…
暗闇の中、この何もない空間に、1人の女性が座り込み、悲しそうな瞳をする姿があった…
その女性の、悲しい瞳の先には……
1人の男性の後ろ姿…
その男性は、この暗闇の空間を退くかのように、1つの光の元へと歩んで行く…
彼女を、置いて…
彼女から離れていく男性…
一歩一歩、距離が広まっていく…
そんな彼の後ろ姿を見つめる女性…
彼女は動く事もできずに、この冷たい床の上に座り込み、涙の滲んだ瞳を向ける…
やっと自分の“気持ち”に気づいたのに…
本当の“気持ち”に気づいたのに…
どうして…?
ねぇ、どうして…?
「ルイ……!」
「……」
「ルイ!」
「……」
何度彼の名を呼ぼうと、彼は振り返る事すらしなかった…
一粒の大きな雫が、綺麗な彼女の頬を伝う…
これは、悲しみの、涙…
胸を押しつぶすような、苦しい痛み…
「置いてかないで…!」
彼女のこの苦しみなど知るすべもなく、光へと消えていく彼の姿…
「置いてかないで!」
見えなくなる後ろ姿へと手を伸ばし、届く事のない彼を待つ…
しかし彼は戻らない彼女の元へは…
「ルイ!!」
彼の姿は消え、暗闇へと差し込む一筋の光さえも姿を消した…
光の差さないこの暗闇の中、悲しみにくれる彼女は、ただ1人、取り残されたのだった…
彼女の嘆くその声だけが、何もないこの空間に響き渡る…
そして、その声さえも消してしまうように、彼女の全てを、闇が覆う…

