リビングの中を行ったり来たりするルイ。
それを、椅子に座り、珈琲を両手で持ったまま、目で追うカリン。
彼女は、忙しそうに歩き回るルイを見て、微笑んでいた。
ルイは、出掛ける用意を忘れていたらしく、時間内に何とか済ませようと慌てていたのだ。
「じゃぁ、出掛けてくる。」
「うん。」
暫くすると、準備が整ったらしく、玄関の前まで歩くと、片手を挙げ、カリンに挨拶する。
するとカリンは、ニッコリと微笑み、手を振った。
可愛らしい彼女の見送りを受け、はにかみながら微笑む。
「おとなしく、してるんだぞ?」
「子供じゃないもん!」
ルイの言葉にぷくっと頬を膨らませるカリン。
そんな彼女を見て、声を上げて笑うのだった。
外に出ようと、扉へと手を伸ばすが…
何かを思い出したかのように、動きを止め自室へと戻っていく…
何か忘れたのだろうかと、彼が戻ってくるのを待つと、すぐさま彼は部屋から出てきた。
その彼が手にしていた物…
それは、大きな、大剣…
その剣を見た瞬間、彼女は、微かに顔を歪めたように見えた。
だが、彼女は何もなかったかのように、手を振って彼を見送る。
満面の笑顔で…
いつもの、天使のようなその笑顔で…
そんな彼女に手を振り、出掛けて行ったルイ…
「チッ…」
扉が閉まり、彼の姿が部屋から消えると、彼女しかいないはずの部屋に、舌打ちをしたような音が響く…
「やっかいな物持って行きやがって……」
部屋に響く声…
彼女が発するはずのない言葉…
だがその言葉は、紛れもなく、彼女の口から発せられていた…
手を口元に持って行き、爪を噛む彼女…
まるで、人が変わったかのようなその姿…
優しい雰囲気も、可愛らしい笑顔もどこにもない、別人のような彼女…
いつも笑っているその瞳は、緑色に光り、鋭く、冷たかった…

