「藤堂S高蹴ってA高にするらしいぞ!」


ざわつく教室。
A高志望の私とさくらも顔を見合わせた。


後期試験へ向けて塾で勉強していた途中だった。


「藤堂くん、S高受かったのに!?この塾のトップが......どうしてだろう?」

もったいない....と呟くさくら。

「あ~~もう、あいつ!バカ!」

「どうしたの美子ちゃん、何か知ってるの?美子ちゃん藤堂君と仲良いよね。」

「別に仲良いわけじゃないの。ただ単に情報あげてるってだけ。面白くなりそうだからね。なのに......。」

「情報?」

「あいつ、追っかけてる子がいるの。まさかここまでバカだと思わなかったけどね........。」

「何それー!すごーい!」

「その子が前期試験でA高に受かったって教えたらこの様よ。.....こんなことになるなんて思わなかった。」

私立S高。
県のトップ高、本当に頭の良い人しか入れない。
まあ、A高も県内の公立高校でトップを争うには十分な高校なんだけどね。

でも、S高とは格が違う。

「あいつ、後期試験でA高に入るつもりだ。」