「輝黙りなさいこの女好き。別に優じゃなくても良かったんでしょー?」
「うーん、最初は何となくだったけど、最近は気になってきたのにな~、やっと本気で誰か好きになれそうだったのにな~美子ちゃんのせいだよー。」
泣き真似をする輝。
本当だったら冗談言うな、と殴りたいところだけど、出来なかった。
輝を利用しようと言ったのは私だったし、輝は本気で誰かを好きになったことがないから、本当に優を好きになりそうだったのなら、ひどいことしたな......と反省した。
「ううーん。」
「どうしたさくら。」
彼女の前にだけ見せるこの西の優しそうな表情レアだわ。
「やっぱり!私、藤堂陽くん知ってる!」
「さくら?」
「あの藤堂くんだ!塾!塾が一緒だったの!」
そう言うと、私と視線を合わせた。
その時。
「おい、何してんだ。」