彼を引き止めて、ポケットティッシュ丸ごと彼に押し付ける。
「まだ取れてないでしょ?これあげるから。本当にごめんね。」
「いや、要らないし...........。」
「早く行くんでしょ?職員室!」
元々、職員室に呼ばれていたんだろうな。
だから初めから、どこかへ行こうとしていたんだ。
悪かったな。
「え、うん。」
彼はその時、笑った。
「何だこいつ。」って思って笑ったのだろうけど、この笑顔に私はやられてしまったのを覚えている。
彼を忘れられなくなった。
去って行くその人の名前は、
『1年7組の藤堂ー』
1年7組の藤堂君。
それが、陽への“好き”の始まりだった。


